2007年01月25日
中学数学から高校数学の計算のはざま
中学数学から高校数学の計算へ
前回、「数学が苦手な原因はどこにある?」で、「計算そのものが苦手なのか。計算そのものというのは、もちろん算数や中学数学にふくまれる計算もですが、高校数学にはさらに高度な計算能力が要求される」と述べましたが、この具体的な例を1つ挙げてみます。
次のような問題です。
これは中学.高校どちらの計算?
数Ⅱの初めに習う分数式の計算です。別に難しい問題ではありませんが、ここで要求される中学数学の計算能力を分析し、なぜこの問題が出来ないか、いわば中学数学と高校数学のはざまを考えてみたいと思います。
まず、こういったタイプの分数式の計算は中学ではやりませんので、初めてやった時は問題の意味が分からないのは当たり前でしょう。これは計算能力とは関係ありません。「計算せよ」とあるのは、「1や0などの具体的な数値、あるいはxやyの文字の入ったままでも出来るだけ簡単な形にせよ」ということですね。
次に、「じゃあどうやって簡単にするの」という疑問がわくわけですが、ふつうの数だけの分数計算と同じように約分を利用して計算していくわけです。ふつうの数だけの分数計算とちがうところは、たとえば、分子と分母に「x +y 」という同じ多項式があれば、この多項式で約分できるわけです。そして、xやyなどの単項式や多項式で約分できるように、分子や分母を可能な限り因数分解するわけです。
因数分解が出来るという前提であっても、もう1つのハードルが待っています。たとえば、ここまではいいのですが、

分母がx-y、y-xと逆になっているのでx-yにそろえようとするわけですね。y-x=-(x-y)と「-」をつけて、さてそれからどうしよう? 中には、たとえば、多項式-x+y-z=0はx-y+z=0と同じであることがあやふやでつまずいてしまうケースもあるかもしれません。多項式全体の+-の符号を変えなければならないという発想がないんですね。以下、まちがえるパターンをいくつか挙げてみます。

分母のy(y-x)=-y(x-y)は正しいのですが、分子のxが-xになってます。分数という1つの数の符号を変えないためには、分母、分子とも符号を変えなくてはならないのですが、分母の符号が変わっていないということに気づいていないあやまりのパターンです。

y-xをx-yに、xを-xにしているところまではいいんですが、ここで行き詰まって(頭がこんがらがって)なんとなくじゃまな-xをxにしてしまったパターンですかね。

これは答えが合っているのですが、まちがいを2回くり返してたまたま答えが合っちゃったというパターンです(‥;)。答えが合えばいいというわけではありませんので、上の2つの場合より先がこわいかも。
1つの数としての分数の符号と演算記号で?
分数式の計算では、分母分子が多項式になり、その多項式を因数分解し、そして分数自体のプラスマイナスの符号を考え、さらに演算記号のプラスマイナスの符号との関係を考えなくてはならないわけです。でも、これは高校数学の考え方だというわけではありませんね。上に挙げたようなまちがいをすると、その先の計算がすべてムダになってしまいます。もっと言えば、自覚のないままこのような計算をくり返していると、まちがう訓練をしていることにもなりかねません。要注意ですね。
高校数学の分数式の計算
念のため、演算記号がプラスとマイナスの場合の2とおりの分数式の計算方法を記しておきます。【問題2】の方は、これ以上簡単には出来ません。因数分解に限らず、これ以上簡単にできるかできないかを判断する能力が中学数学よりも強く求められます。
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