2007年05月24日

記憶術について

持って生まれた能力はさまざま

いろんな教科を自分の思いどおりに習得する時に必要とされるものは、何でしょうか?
教材、塾、家庭教師などの外部的ものではなく、自分に備わっている、あるいはこれから身につけていく能力、すなわち、考える力、覚える力、見る(観察する)力など、…。
実際に子供たちを教えていると、これは非常に興味深いものがあります。実に個人差があり、さまざまです。論理的に組み立てる能力に優れた子、言葉の意味に強い反応を示す子、算数・数学はどちらかといえば苦手意識を持っていても、立体図形には強い(空間認知力があるのかも)子、しみじみ感心してしまいます。

覚えるのが苦手?

今回は、「覚える力」について少し触れてみようと思います。 世間一般では、理系とか文系とか言って、「俺は完全な理系で覚えるのが苦手だ」とか、「私は国語と英語などの暗記系は好きだけと、数学や物理がまったくダメなの」などといった会話はよく耳にしますが、本来、「覚える」のに理系も文系もないのではないでしょうか。

私には、「覚える」ことも一種のトレーニングで、覚えるのが得意な人は、無意識にそのような訓練を小さい頃から積んできたのだと考えます。人の個性、適性は千差万別ですので、そのトレーニングに向き不向きはあるかもしれませんが。

「記憶術」

世の中、さまざまな「記憶術」というメソッドやテクニックが喧伝されて、「こうすれば覚えるのが苦手なあなたも記憶の天才に変身!」なんてありますね。 「記憶術」といえば、円周率を記憶する大会があるということが強く印象に残っています。

この記録の世界チャンピオンは日本人が多く、最初に1万桁を突破したのが友寄英哲(ともより ひであき)さん。日本語は数字の語呂合わせと相性がいいのが、世界チャンピオンを輩出した理由の1つとか。今は、10万桁突破するのはいつかということに関心が集まっているようですね。

友寄さんは、友寄式記憶術を考案した方で、幾度にもわたって円周率暗唱の世界記録を保持者でした。円周率の暗唱というものが、脳の活性化のためによい刺激となっているのでしょうか。実際、友寄さんが高齢になられても脳は萎縮があまり見られず、記憶のトレーニングが脳の若返りに貢献していることが実証されているそうです。

友寄さんの「記憶術」ご紹介

興味深い話として私が以前メモしていたものをご紹介しましょう。

友寄英哲 昭和7年生まれ。
学生時代、東京の神田の大道芸で数字当てを見て、記憶術に関心を持つ。円周率暗唱世界記録に三たび挑戦。昭和六十年、4万桁を達成。それまでの記録、31811桁を六年ぶりに破る。

近ごろ記憶力がにぶった、年とともにものが覚えられない、顔は思い浮かぶのに知人の名が出てこない。そういうなやみを持つ人は多い。17時間かけ、円周率4万桁暗唱という世界記録を達成したのが55才の人だというのは、記録以上に「快挙」に見えます。だが、友寄さんは次のように言う。

「確かに、私以前の世界記録の保持者は26才、17才、23才など若い人が多い。丸暗記するのなら若い方がいいでしょう。でも、わたしの記憶術は暗記じゃないんです。これだと、むしろ年令が上がったほうがいい。」

ムムッ、何と! 思わずこう言いたくなる話。その秘密は、連想をはたらかせることにあるとか。

「人生経験も多い、知ってる言葉も多い。人に会って名前も大勢知っている。連想をはたらかせる上での材料がそれだけ多いということですから。」

会社の宴会で余興として、みんなにたがいに関係のない単語を書かせ、それを覚えて披露していたそうですね。

「たとえば、『プール』と『ラーメン』というまったく関連のない言葉をイメージでつないでいく。それも絵が思い浮かんでくるような、なるたけ奇抜なのがいい。『プールで泳いで、ラーメンを食べる。』では平凡。『プールにラーメンを入れ、泳ぎながら食べる。』がいい。不快感がともなう分、印象が強い。」

ある日、友寄さんの特技を知る人が円周率の千桁の数字を机の上に置いていったのを、遊びで覚え始めたのが始まりで、それがいつしか4万桁という大記録にまでふくらんだそうな。

「数字に言葉を当てはめるやり方が昔からありますね。で、私は円周率の10桁ごとに、まずキーワードを作りました。たとえば、33950桁は『サキュー』。その桁の数字は『6920253886』で『ムクツマニウミハエル。』 『砂丘向く妻に海映える』一つのストーリーを作り、そういう情景を思い浮かべられると、すぐ覚えられるんですね。」

それにしても、やはりたいへんな苦行にみえますね。

「苦行だったら、やってないですね。数字や言葉を楽しくおもしろいものにして、それを想像しながら覚えていくのですから。」
スポーツと似ているところがあって、最初は二、三〇分やってもすぐ疲れてしまったんですが、慣れてくると二、三時間やっても平気。集中力を持続させると、最後には十何時間でもだいじょうぶになってくる。筋肉と同じように、頭も使っているところは、きたえられるような気がします。脳細胞は一日に十万個ずつ減っていくらしいですが、それは使うからなくなっていくのではなくて、使っていないところがなくなっていくのだと思います。」

記憶力を高めるには、結局くり返すしかないのでしょうか。

「忘れそうなころにくり返すことですね。それと、歩きながら覚えるのがいいみたいです。手を動かしていると、脳が記憶するのによい作用があるとも言いますね。とにかく机の前でじっとしているよりは、体を動かしてやるほうがよい。よけいなことに気を取られて覚えられるのかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、おもしろいことに、これを覚えたのはたばこ屋の前、これは向こうから人が来たとき、と何かにからめて覚えているみたいです。すると、まちがえて言いそうになる時、いや、これはたばこ屋の前で覚えたんだから、こんなストーリーではないと気づいたりするんです。

もう一つ、自分の置かれた立場、ものごとをよいほうに考える楽天家のほうがいいですね。心をいつもリラックスさせているということですから。どうしても思い出せない人の名前が風呂に入ったとたんに出てきたりするのは、リラックスした状態だからです。リラックスすると、脳の潜在意識の門が開いて、アイデアやひらめきが生まれるんです。」

少年時代、特に記憶力がよかったわけではないそうですが、友寄さんの編み出した記憶術は、凡人にも納得がいきますね。

「やれば、だれでもできるんです。ただし、ばかばかしくて、だれもやる気にならないんでしょうね。」 

現在、小学校で円周率は3で計算していいということになっているのとは、対照的な話ですね。

人気blogランキングへ 人気blogランキングへ
応援クリックよろしくお願いいたします

投稿者 寝太郎 : 11:39 | コメント (0) | トラックバック(0)

container閉じる